厳しい練習が辛い初心者と、それを救おうとして苦しむサリー
今回はサリー(義井 沙里)がメインと言ってもいい回でしたね。
同じ目標に向かっていく中で、「どこまでガチでやるか」という点でレベルや価値観の違いによって生まれる問題。色々と考えさせられる、深い3話だったと思います。こういう話、大好きです。
サリーは麗奈のガチ度についていけてなくて、それがしんどくなっているのかと思ったら、そうではなく「初心者の部員達の退部を止めて『頑張って結果出したら楽しくなるから』と続けさせた結果、救おうとしたのに苦しめていることへの自己嫌悪」だったんですね。真面目でいい子だからこそ、自分で抱え込んでしまった末に体調を崩したということでしょうか。
「楽しくないと続かない」か、それとも「続けたら楽しくなる」か。
サリーが初心者の部員達にかけた言葉は後者の方だったので、3話の序盤でサリーが久美子に「部活、楽しいですか?」と聞いたのは、3年生の久美子から「楽しい」という返事を聞くことで、「続けたら楽しくなる」が間違いないという確かな根拠を得たかったのかなと思いました。
そもそも1話で多数決をとった際に全員がエンジョイよりもガチ(全国金賞)を選んだわけで、滝先生からも「決めたんだから忘れるな」と言われたわけなので、麗奈からの厳しい練習が辛くても頑張るべき……なのかもしれませんが、実際どれぐらい辛いかってやってみないとわからないものですよね。ましてや未経験で初心者となると、確かに麗奈のガチな指導についていくのはかなり辛そうです(麗奈も「練習についてこられない子をフォローしている時間はないと思う」と幹部の交換ノートに書いていたので、時間があるならフォローしようとする姿勢はありそうですが)。
というか多数決が満場一致だったといっても、周りがみんなガチに手を挙げたから(本当はエンジョイがいいのに自分だけそっちには挙げづらくて)自分もガチに手を挙げた部員もいそうですよね。確か弥生(ギャグを言う子)が周りを見て自分も……という手の挙げ方でしたし。
自分の価値観が周りと違うのに、周りがそうしてるから自分もそうするという流れになって周りに合わせた結果、ついていけなくなって苦しくなる……これは学校だけでなく、社会人の仕事でも当てはまることだと思いますが、中々難しい問題ですね。サリーが他の1年生を救おうとしたみたいに、本当は2年生や3年生が、例えば1年生がこれなら厳しい練習でも部活続けたい!って思えるように、何か楽しいと思える時間をもっと作ってあげるべきなのかなとは少し思いまいた。ただ麗奈もちゃんとできている時は褒めていて、それに1年生のメガネの子が嬉しくなる描写があったので、案外大丈夫なのかな? 泣くサリーに久美子が言った「ごめん」は、その役割を自分達がやらないといけなかったという申し訳なさもあったんでしょうか。
部長として力を発揮していく久美子。でも久美子自身の負担が心配……
今回も久美子の長所(だとアニメを見て個人的に思っている部分)である「相手の行動や言動から気持ちを察する」「共感し、肯定する」というのがいくつも感じられました。具体的には、
・「楽しいですか?」の僅かな目線の動きだけで何かを察知
・「下手なのに帰るなんて」と不満を吐く後輩に「(おそらく部のことを考えてくれてという意味で)ありがとね」と返す
・付き合っているかの話の後に、すずめが「先輩もしかしたら気づいてるかもしれないですけど」と言い切る前に久美子の表情が変わった→言葉よりも声のトーンで察した?
・サリーが初心者の部員の子達のためにやった行動を「ありがとう、お陰でまだ誰も辞めてない」と肯定した
この辺りですね。サリーから明確に「あの人が部長でよかった」と言われていたことからも、周りから見た久美子はやはり部長に向いている、ということになりますね。
ただ一方で、3話は特に久美子の負担の大きさが心配になりました。すずめから集団退部の話がきた後に帰宅したシーンがありましたが、すぐに部屋のベッドにダイブしていましたね。集団退部なんて話を出されて、それで頭の整理が追いついてなくて、それでストレスや疲労が溜まって軽くキャパオーバー状態になったような、そんな感じがしました。電気もつけないでベッドにダイブしたのは、身体が本能的に休みたい状態だったが故の行動でしょうか。
そして何よりも、泣くサリーを救ったシーン。サリー自身や、周りの悩みを全部自分に持ってきてというあの発言。サリー側からすればすごく救われる一言だったと思いますが、久美子視点で見ると、どうしても「全部自分に集めたとして久美子自身のメンタルは耐えられるのか……?」と心配になってしまいました。
自分が抱えている悩みをちゃんと聞いて受け止めてくれる人がいるというのはすごく心強いことなので、部員(特に後輩)にとって久美子の存在はすごくありがたいと思いますが、ただ久美子自身の悩みは、どこに吐けばいいんだろうか? というところがすごく気になります。いくら人の悩みを聞いて、救ってあげたとしても、自分自身が悩みから救われないと、それは自己犠牲になってしまいやがて自分自身が耐えられなくなってしまうので、この辺りがどうなっていくか、今後も注目したいところです。秀一や麗奈が吐き先になるのか、私自身の悩みや苦しみはどうなるのと本音をぶちまける時が来るのか……どうなるかわかりませんが、進路や真由の件もあるので、とにかく久美子自身のメンタルがすごく心配です。どうか悪い結果になりませんように……(切実)
ということで、3話感想でした。
原作そろそろ買いましょうかね……1〜3話の中だけでも原作から補完できることは多そうですし……
あとなんだろう、久美子のメンタルを心配すると地味に奏の存在がありがたい気がする。頼れる後輩って大事ですね。
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