久美子vs真由。胃痛のオーディション
ついにオーディション回がやってきましたね。香織先輩と麗奈の時といい、夏紀先輩と奏の時といい、ギスギスして胃が痛くなってきたオーディションですが、今回も「久美子vs真由はどうなるのか」「もし久美子が勝つ場合、真由はわざと負けたりするのか」で胃痛が激しい回でした(意外とすんなり終わったことがまだ救いでしたが)。
正直、久美子が負けるのかなという予想でした。主に部長のことでバタバタしていて真由ほど練習に時間が取れない、今までの描写からして多分真由の方が上手い? などが理由です。それか、オーディションが3回あるので「久美子→真由→久美子」みたいな選ばれ方もあるのかななどと思っていましたが、2人とも合格するのは予想外でした(どうしてどっちかしか選ばれないという思い込みをしていたのか……)。
ユーフォ4人で会話しているシーンでは、久美子や奏の視点から聞いた時の真由の発言が今回特に悪い印象に感じました。奏に「このまま演奏すれば、ご自身(真由)は必ずオーディションに選ばれてしまうと?(何煽ってんの?)」と視聴者の気持ちを代弁するような言葉があったのがいいですね。久美子がそんなに強く否定してないからこそ、奏的には真由の発言がとにかく気に入らないんだろうなあと。
久美子は真由の言動に結構怯んではいたものの、真由と奏がやり取りしている時に奏を止めたのは、1年生の佳穂への配慮もあったのかなと思います。あんな会話のやり取りされたら、1年生的には気まずいでしょうし……もちろん直接描写があったわけではないのでただの想像でしかないですが、部員のことをしっかり見ている久美子ならそういう気遣いもあり得るなと思います。
しかしこのオーディションがあと2回もあると思うと中々やばいですね……胃がもつかどうか……
メタ的にいえば流石に最後のオーディションでは久美子は選ばれると思うので、仮に真由だけが選ばれる展開があるとしたら2回目のオーディションでしょうか……こういう展開自体は大好きですが、それはそれとして覚悟しておかないとですね(白目)。
大事な人との思い出に踏み込まれたくない気持ち。わかりみが深すぎる
6話では、あすか先輩から受け取った楽曲「響け!ユーフォニアム」を吹いた後に真由から曲について聞かれるシーンで、
めっちゃわかるうううううううううううう
と激しく共感してしまいました。
相手(ユーフォでは真由)のことは決して嫌いじゃないんだけど、でも自然と壁を無くして何もかも心を許せるような人ではない、だから自分のことを知られることに抵抗があって、大事な人(ユーフォではあすか先輩)との思い出には踏み込んでほしくないというこの心理。僕自身同じような気持ちを抱いた経験がありますが、アニメでは「何故か言いたくなかった」(原作では「久美子は本能的な不快感を覚えた」)とあるように具体的にはっきりと言語化するのが中々難しい感情なんですよね。こういった人間の複雑でリアルで繊細な心理描写を表現してくれるのがこの作品の魅力の一つだと思いますが、このシーンでそれが感じられたのがとても良かったです。自分で感じた時にどういう気持ちか言語化できないものを作品が表現してくれると、「それそれ!その感情!」とある意味どこかわかってくれる人が現れて救われた、みたいな気持ちになるので、人間描写が細かい作品は本当に好きですね。
このシーン、どっちも悪くないのがまたね……真由の視点からすれば、真由は本当に悪気はなくて、久美子と仲良くするために近づきたいだけなんですよね。真由はなんというか、多分人と仲良くなるのが苦手な、友達が少ないタイプのキャラなのかなと思います。天然で純粋で、ただ相手と仲良くなりたいだけなのに、そのための選択を毎回間違えて上手くいかないみたいな。だから真由に感情移入するなら真由は真由でかわいそうだなとも思います。自分が無自覚に他人に拒絶されるような言動や行動をしていることが原因で孤立するって、結構しんどいと思うので……ただあくまでも久美子視点では、どうしても拒絶しちゃうよなとなってしまうので…….難しいけどいいシーンだなあ、ここ。
真由と絡むシーンだと、「部長」としての久美子と、「奏者」としての久美子が目立って見えるなと今回の話を見て感じました。オーディションの際に気合が入った久美子は、「部長」から「奏者」モードに切り替わって見えましたし、真由をあすか先輩の曲から拒絶した時も「部長」としてなら素直に教えるべきだったのかもしれないところを「奏者」として拒絶したように見えました。6話でこういった発見ができたのが面白かったので、7話以降も注目したいところです。
ちょっとした疑問ですが、「響け!ユーフォニアム」を吹いたのは、「オーディションの度に不満や不安を宥めてまとめないといけなくて胸が痛い」→「一旦落ち着け」と台詞があったので自分自身を落ち着かせるためにこの時だけ意図的に吹いたんでしょうか? それとも偶然個人練習メニューの中にこの楽曲が入っていたんでしょうか? 練習の中で一旦落ち着かせる息抜きゾーンみたいなところがあるみたいな……(おそらく前者かなと思いますが)。どっちにしろこの楽曲が久美子の精神的な支えになっているとしたらエモいなあ……あすか先輩、ちょっと存在が偉大すぎやしませんかね。
「滝先生の正解」ではなく「久美子自身の意思」をぶつける展開もある?
6話で最も印象に残ったのが、「滝先生神格化問題」でした。
またもや開かれた黄前相談所で今回の相談者であるみっちゃんが久美子に放った、「ずっと指導を受けてきた三年生と違って、一、二年生は滝先生のことをそこまで神格化していない」の一言。僕自身も今までユーフォ3期を見てきて、「滝先生の言うことが正解」みたいな発言が度々目立つのが少し気になっていたので、ここは「おー、みっちゃんよく言ってくれた」と思いました。
ただ僕はみっちゃんの発言に引っかかるところがありました。というのも、久美子達は弱小だった頃の北宇治吹奏楽部に入部して、滝先生の厳しい指導によって弱小だった北宇治が強豪校に実際になるまでを経験しているわけです。ただ脳死で「滝先生の言うことが絶対!」ではなく、そういった実績があるから滝先生の言うことが正しい」と根拠のある信頼をしているわけで、一方で「強豪校だから滝先生の言うことを聞いていれば全国で結果を残せる」的な感じで滝先生目当てで入部してきた今の一年生もいるんじゃないかと言うことを踏まえれば、むしろ神格化しているのは後輩達の方じゃないか……と。みっちゃんはちゃんと一、二年生全員から「神格化していない」と聞いたわけではなく、さっちゃんがオーディションに落ちたことも踏まえて主観で言っているだけじゃないか、と思っていました(麗奈だけは神格化していると思いますが)。
しかし原作を読んでみると、「弱小から強豪校に上げた実績があるからこそ三年生は滝先生を神格化していると思う」とありました。確かに昨年は関西大会止まりでみっちゃん達は全国大会を経験していないわけなので、みっちゃん的には「自分達からすればただの優秀な指導者、でも三年生からしたら弱小から強豪校に変えてくれた神様じゃないか?」という滝先生に対しての温度差の違いがあるんだろうなと言うことで、みっちゃんの発言にも納得ができました。
久美子としても、オーディションの結果について滝先生に質問していて(みっちゃんの話を聞いても滝先生が100%正しいと思うなら質問はしないはず)、かつ原作でも「自分は本当に、滝先生に言われるがままに動いていていいのだろうか」と言う文があったため、どうやら滝先生に対して疑問を持ち始めているのは間違いなさそうです。となるとこの先、「滝先生が言ったから」ではなく久美子が後輩達の意見を色々聞いた上で滝先生に依存しない、自分自身の意見や意思を滝先生にぶつける展開もあり得るのかなと思いました。(3期のOPで久美子と麗奈が別の方向を見て涙を流している部分は、「滝先生が正解」の麗奈と「そうじゃない」の久美子がこの先対立することを示唆していたり?)
もしかしたら、滝先生は久美子達に対して、「自分(先生)が言ったから正解ではなく、時には自分の意見と対立しても自分達の意見をしっかりと持って欲しい」という思いがあったりするのでしょうか(幹部3人に3曲の中でどれがいいと思うか意見を募ったりもしてましたし)。そのために、本当は正解じゃないことを久美子達に敢えて指導することで、そこに疑問を持たせて自分達の思考で本当の正解を出させて自立させる、みたいな……部員達の自主性を重んじる滝先生だったらあり得なくはないかも……
ということで、6話の感想・考察でした。
今回は結構考えること・書くことが多い話で、とても面白かったです。
そういえば触れていませんでしたが葉月初オーディション合格、本当良かった……ちょっと泣きそうになっちゃいました。
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