久美子がやっと自分らしさを取り戻したわけだし、北宇治吹奏楽部も一つになったようだし、これで問題解決……
してなかった。
「やっぱり私辞退しようか?」
これまだ引っ張るのか……マジか……ってなりました。北宇治は一つになったようで、まだ真由だけは違ったんですね。これで全国のオーディションは清々しく久美子vs真由のラストバトル!ってなるのかなと思っていたんですが……真由関連の壁が大きすぎる……。
3期で真由に対して視聴者の気持ちを代弁してくれるポジションだった奏が、ついに「久美子を侮辱している」と思っていたことを今回はっきりと言ってくれましたね。確かに、本当に辞退したいんだったら何回も久美子に言わずに勝手に辞退するか滝先生に言えばいいだけの話ですもんね。それをわざわざ久美子にくどいぐらい言ってきているのは、あくまでも自分が辞退する最終的なトリガーを「久美子に言われたから」にしたいと、それはつまりどこまでも自己防衛で、自分は一切責任を負いたくない、と。核心突いたようなこと言ってくるなあ奏(原作を読みましたが、奏→真由は明確に「嫌い」っぽいですね)……久美子も「そうか……」と理解した反応を見せてましたね。
ただこれ、久美子・奏視点だと確かに「自分が責任を負わないために、久美子に辞退してと言わせようとしてる」なんですが、去年の奏が夏紀先輩に何も言わずに勝手に手を抜いた事例も踏まえると真由からすれば「自分が勝手に辞退するのは良くない。ちゃんと久美子ちゃんと話して久美子ちゃんにわかってもらった上で辞退しないと久美子ちゃん怒るかも」みたいな気持ちから何度も久美子に言いにきてるようにも見えるんですよね……久美子・奏視点では人としてどうなのってなるけど真由視点だと本当に善意で言っているだけというか……うーん難しい……。
久美子の「オーディションで公平に競い合いたい」に対して真由は「そうじゃなくて麗奈とソリが吹きたいが本心でしょ」と久美子の本心を否定しましたが、(麗奈とソリを吹きたいはそれはそれで本心だろうけど)公平に競い合いたいのも多分久美子の本心なわけで、そこを真由がそれは本心じゃないと決めつけちゃっているのが問題ですかね。
真由の譲れないものは、「最後まで楽しい部であること」。だからこそ何としても部の空気を悪くしたくないし、だからこそ久美子が全国でもソリに選ばれないことで久美子やその周りが何かしらネガティブな感情を感じることを阻止したい。本気で久美子のために、自分が辞退するべきだと思っている。つまり、「部の全国優勝<久美子がソリを吹くこと」。
一方で久美子の譲れないものは、「全国優勝のために誰も手を抜かずに本気で競い合い、全力のメンバーで全国に挑むこと」。だからこそ何としてもオーディションに手を抜く部員が出るのを阻止したいし、だからこそ真由にも手を抜いて欲しくない。例えそれで自分がソリに選ばれない結果になったとしても。本気で北宇治のために、真由が辞退するべきでないと思っている。つまり、「「部の全国優勝>久美子がソリを吹くこと」。
……と改めて整理してみましたが、これ解決するんですかね?何か最後まで分かり合えない気がしてきました……。
メタ的に言えばあくまでもお互い全力で勝負した上で久美子がソリに選ばれるという形にどうにか持っていくんだと思いますが、劇中の部員(特に奏)に共感して見ると絶対に譲れない相反する価値観を持っている時点でどう足掻いても分かり合えない=解決できない、としか思えないんですよね。
真由というキャラ、ユーフォ史上一番めんどくさいかもしれない。武田先生、なんて魅力的なキャラを生み出したんだ。面白すぎます。
真由の考えもあくまでも価値観の一つだから絶対に間違っているとは思いませんが、実力主義の北宇治は大半が(というか真由以外全員が)久美子思考だと思うので、その実力主義の組織に自分から入るなら周りに合わせるべき、価値観に納得いかないなら部に入らないか他校の吹奏楽部に行くべき、って思ってしまうなあ……じゃないといわゆる「サークルクラッシャー」的な存在になってしまうというか。
3期は久美子vs真由が、最後まで立ちはだかる大きな壁になりそうですね。
どっちも本心だからこそのすれ違い、どうなっていくのか気になります。
以上、3期11話感想でした。
そういえばカットされたと思われたみぞれ先輩の演奏を聞きにいくシーン、原作とは違う順番で出てきましたね。みぞれ先輩との会話を通して久美子が「自分の行く道は音大じゃない」と確信を持つこの展開は原作になかったので、久美子が進路を決めるきっかけの一つになるという意味をこのシーンに持たせたのが素敵だなと思いました。
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