泣いた……ボロッボロに泣いた……
なんというか、「黄前久美子という人物が詰まった神回」だと感じました。
胃が痛くなる展開が続き、もう誰でもいいから久美子を助けてくれ……と9話終了段階でずっと思っていましたが、久美子を救ってくれたのはあすか先輩でしたね。
もう、あすか先輩しか勝たん。
本当にありがとうございます……とあすか先輩には頭が上がりません。久美子って部長として、今まで色んな複雑な思いやストレスをずっと抱え込んで頭の中がもうグチャグチャになっていたと思うんですね。それをちょっと話を聞いただけで要点を捉えて、今までの苦しみを一瞬にして吹き飛ばすかのようにシンプルな言葉でスパッと解決に導く。振り返れば1期や2期でも、あすか先輩は自分の事情はともかく人の事情に関してはさっさと話を終わらせてくれる人だった気がします。もうなんて頼もしいんだろう。なんでこういう先輩キャラって(香織先輩とかも含めて)こんなにかっこいいんですかね。3期では基本的に先輩でしかない久美子もあすか先輩と話している時は、「ああ、久美子はいつまでもあすか先輩の後輩なんだな」って、1期や2期の時の久美子がちょっと見えた感じもしたのが好きでした。
僕はこれまで3期を観てきて、「どこかのタイミングで今まで溜め込んできたものが爆発するのが久美子だから、3期でも本音が爆発する瞬間が見たい」と思っていました。実際最後の演説で、久美子の本音をついに聞くことができたわけですが、あすか先輩の言葉で、僕は「黄前久美子とはどういう人物か」について、いつの間にか忘れてしまっていたことがあったことに気付かされました。
無責任に言いたいことを好き勝手に言う。他者の言動に妥協せず、そのわがままで自己中な言動を押し通して、響かせて、折らせる。相手がそれを正しいと思わなくても関係ない。例え正しい理屈が相手だろうが気持ちで跳ね返す。
「黄前久美子という人物の本質は、そういう”性格の悪い”部分」だったと。
そうだった……
ずっと3期の久美子に共感して話を見てきて久美子視点になりすぎたせいで、「相談所を通して人の話を肯定して聞いてくれる共感性」と「色々溜め込んで後で爆発する」ところばかりで、「性格悪い」という部分がすっかり頭から抜けていました。
「部長」として、責任感があって部員の気持ちを汲み取ってくれる「良い子」としての久美子に目が行きすぎて、ある意味「悪い子」としての久美子が段々薄れていたんだなあ……と。久美子と同じく、あすか先輩の言葉にハッとさせられました。先輩って偉大だ……。
自分は部長に向いていないと久美子が元々言っていたのは、自分自身の無責任さがダメなところだと思っていたのもあるかもしれませんね。実際部長という責任ある立場になって、よく考える面もあるからこそ無責任なことを言ってはいけないと色々抱え込むようになってしまった。でも久美子の無責任さをあすか先輩がはっきりと「良いところ」だと断言したことで、無責任だからこそ自分の本音をはっきりとぶつけることができるという長所として、最後の演説で発揮されて部員達に”響いた”。無責任だから部長に向いてないのではなく、無責任だからこそ本音をぶつけることで部員達が信頼できる部長になれる。久美子の自分らしさ、個性、長所が最高に輝いた回だったのではないかと思います。
久美子の言葉が響いたあすか先輩から今度は久美子に言葉が響いて、あの「上手くなりたい」シーンを思わせるように橋を走って自分の本音を思い出し、強みを最大限に発揮して部員達に響かせるこの流れ、本当に美しいと感じました。演説を聞いた時はつい涙ぐむ部員達と同じ反応しちゃってましたね……。
以上、10話の感想でした。
これがユーフォ。これがあすか先輩、これが久美子。一番見たかったものを見られた回だったと思います。
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